FUN'S PROJECT REPORT


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FUN'S PROJECT REPORT #0042019.09.05

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1日10分でアニメーターに!?動画工房とFUN'S PROJECTによるオリジナル教材「アニメータードリル」ついに公開!

今や日本を代表する文化と呼ばれるようになった”アニメ”。数々の作品が世界中のファンを魅了する一方で、その作り手であるアニメーターは、要求される能力が特殊なこともあって業界全体で人材不足の状況が続いています。「アニメの基礎が分かっている人材」「即戦力として不可欠なスキルを持った新人アニメーター」はどのアニメスタジオにとっても喉から手が出るほどほしい存在なのです。

■アニメータードリルとは?

アニメ制作会社の「動画工房」とDNPクリエイター共創サービス「FUN'S PROJECT」が中心となり、学生・若手アニメーターのために企画したアニメーター向け講座。

「動画工房」にて実際に使用されている新人用カリキュラムを元にドリル教材として再構築したものです。

業界の現場からお届けする、今までとは一味違う学習方法で、講師自らが実演して、受講者が主体的に考え、発見するというユニークな講座となっています。


■ご案内

本レポートに登場するFUN'S PROJECT COLLEGE「3ヶ月で動画マンの基礎を習得! アニメータードリル」の公開は終了しています。

■「動画工房」とは?

1973年創業の動画工房は日本における老舗アニメスタジオの一つです。『バビル二世』『ゲゲゲの鬼太郎』『ドラゴンボール』『ポケットモンスター』『千と千尋の神隠し』など、東映アニメーションやスタジオジブリなどによる国民的アニメ作品の制作を動画・原画の部分から支えてきました。

近年は『刀剣乱舞-花丸-』『月刊少女野崎くん』『多田くんは恋をしない』『NEW GAME!』など元請け作品も数多く発表しています。いずれも若いファンから熱い支持を得ており、アニメファンの中での知名度が非常に高いアニメスタジオの一つです。また、今シーズンも新作『ダンベル何キロ持てる?』が好評放送中です。

■アニメータードリルの狙い

アニメータードリルのカリキュラムはどのような意図をもって設計されているのでしょう? その開発目的を、教材開発プロジェクトの発起人である動画工房代表取締役・石黒竜さんは次のような想いを込めています。

「アニメ制作会社が作るデジタルドリルを活用してもらい、現場で即戦力を発揮できる人材を育てていきたい。

“アニメータードリル”を学習することが、みなさまの作画における基礎的なスキルアップと入りたい会社の就職の手助けとなりますと幸いです。

手が速く、芝居と画面作りを頭で考えられるチカラを養い、教科書を「読む」「見る」から、「考えて、描く」へ。導入者よりも実践的に活用いただける教材を目指して、カリキュラムを制作いたしました。

反復練習による学習スタイルで作画のスキルアップを目指し、夢をかなえていきましょう!」

石黒さんのメッセージから「アニメーターに求められる能力や必要なトレーニングは、通常の絵画やイラストレーターに求められるスキルとは異なる」ということが読み取れます。特に「手の速さ」は、描ける枚数が収入に直接つながるという意味で、アニメーターには欠かせない能力です。アニメーター特有のスキル習得に特化した映像教材プログラム、それがアニメータードリルなのです。

アニメータードリルは動画工房の新人アニメーターの研修での活用を経て、先日8月8日にオンライン動画学習サービス「FUN'S PROJECT COLLEGE」にて一般公開されました ( 詳しくはこちら )。また、現在一部アニメーション関連の大学や専門学校にて教材としての導入も検討されています。

以下、そんなアニメータードリルの内容について、教材のスクリーンショットを交えてより詳しくご紹介します。

■アニメータードリルのカリキュラム

アニメータードリルは週7本×4週間×3か月、計84日分の映像教材に加え、さらに各回の内容に対応した課題用データがセットになった教材です。1日1回10分程度の映像視聴と課題実習によってアニメーションの基礎である動画のテクニックを身に付け、より速く求められる絵が描けるようになります。

最短3か月でアニメーターとしてのベーススキルを身につけることができますが、各回は独立した内容になっているので、学びたいところから始めたり苦手なパートを繰り返し実習することで弱点を克服したりといった使い方も可能です。

「原画をトレースする」「中割をする」などの各回のテーマを、講師が解説しながら自ら実践するスタイルで映像が進行します。映像上では講師の手元が常にクローズアップされているので、講師の手さばきを直接見て・真似て・学ぶことができます。また、見逃したところや聞き逃したことがあったとしても、何度でも再生しなおして確認できるため、受講生一人ひとりのペースに合ったスピードで学習できます。

カリキュラムの流れはアニメーターになるための入門的なスキルからレクチャーされています。動画マンに必要なスキルをはじめ、正しく動かくためのアタリのとり方、さらには手と全身の演技にチャレンジし、最後には「歩き」と「走り」の描き方を学びます。どれもアニメーターになるための必須スキルです。

なお、基本的にアナログでの作画方法をベースとしていますが、デジタル作画との違いや応用方法などもカリキュラムに含まれています。

さらには動画の技術だけでなく、タイムシートの書き方・読み方や道具の名称、専門用語など、アニメの現場で必須となる関連知識についてもレクチャーされます。例えば、「鉛筆を回転させながら描くことで線の太さを均等に保つ」「消しゴムを使う時は消したくない部分にあらかじめ紙を敷いておく」といった絵を描く際に役立つ実践的な小技を紹介するなど、受講者が飽きることなくトレーニングを継続できるように設計されています。

講師を務めるのは京都精華大学で特任教授を務めるなど、大学・専門学校でアニメーションの授業を持つ遊佐かずしげさん。『タッチ』『楽しいムーミン一家』などの作画監督を務め、現在もNHK番組『チコちゃんに叱られる!』のアニメーションなど、人気作を手掛ける現役アニメーターでもあります。

アニメータードリルについて、開発スタッフの一人である動画工房の平松岳史さんは「動画工房だけでなく国内のどのアニメスタジオに行っても役立てられる可能性がある内容になっています。ドリルの課題を十分こなし、熟練度が上がればアニメーターとして現場に立つことも夢では無いと思っています。」と語りました。

以上、リリースされたばかりのアニメータードリルの概要でした。まさに「アニメーターのアニメーターによるアニメーターのための映像教材」であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。より詳細に知りたい方、実際にアニメータードリルでのトレーニングを始めたい方はFUN'S PROJECT COLLEGE内の専用ページ(アニメータードリルのご紹介)にお進みください。

■実際にアニメータードリルを使用した感想は?

アニメータードリルは既に動画工房の新人アニメーターの研修に導入されています。今年の4月に4名の若手アニメーターが動画工房に入社し、本教材を通じてアニメーターとしての基礎スキルを身に着けました。

そこで、アニメータードリルを実際に使用したTさん(東京造形大学卒)、Sさん(日本電子専門学校卒)、Yさん、Sさん(共に多摩美術大学卒)の4名の新人アニメーターのみなさんに、アニメータードリルを使った感想や得られた学び、そして未来への抱負についてお話を伺いました。インタビューの模様は次回の記事にてご紹介します。お楽しみに!


(取材・文:いしじまえいわ 撮影:浅野誠司)


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