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FUN'S PROJECT CHANNEL 2018.12.13

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【吉田健一×中武哲也】イラスト集「edge」再版記念トークイベントレポ(後編)

2018年11月10日(土)に市ヶ谷の東京アニメセンター in DNPプラザにて、「edge」 Creator’s Talk Supported by FUN'S PROJECTの第一弾が開催されました。

前編に引き続き、吉田健一氏をゲストに迎えたスペシャルなトークイベントの様子をお届けします!

参加者のリクエストに応え、吉田氏が「あのキャラ」をライブドローイング!

今回のイベントは、アニメーションプロデューサーである中武哲也氏の呼びかけで2004年に制作された冊子「edge」の再版を記念して、「edge」に参加するトップクリエイターの一人である吉田健一氏をゲストに迎え、対談やスペシャルな企画が満載で開催しました。

スペシャル企画の2つめは、吉田氏によるライブドローイング!

参加者のリクエストにお応えし、壇上に設置された液晶タブレットでイラストを描いていただきます。

単にキャラクターを描くだけでなく、目の描くときのニュアンスによる違いを画面の端に描いて解説したり。実際に吉田氏がイラストを描く際、試行錯誤しながら描いていく過程を垣間見ることができる、貴重な機会です。

「キャラクター描くのって難しいね…」と弱気な言葉をこぼす吉田氏。
中武氏にとっては新鮮な発言だったようで、「でも“吉田健一みたいになりたい!”って人、結構多いのではないでしょうか?」との問いに、吉田氏は、

「(エウレカセブンの当初は)野心はありました。日本のアニメーションの主流の気分を少しずらしたいとは思っていましたね。それからマンガを描いている人から“影響を受けた”と言う作家さんが出てくるようになって、それは結構嬉しいですね」と答えていました。

また、「吉田さんの絵は真似をするのが難しいと、よくアニメーターさんから聞きますが」と中武氏が質問すると、

「確かに難しいかもしれません。あまり立体的じゃないんですよね。フィギュアにする時など、立体にするのが難しいとよく言われるので、申し訳ないなぁといつも思っています」

ライブドローイングが興に乗ってきたのか、時間内では終われない! とこぼす吉田氏。
この次は会場からの質問に答えるコーナーなのですが、ライブドローイングを続けながら質問に答えるという流れになりました。

マル秘トーク満載の質問タイム

前のコーナーから引き続き、液晶タブレットを操作しながら突入した質問コーナー。
参加者には吉田氏のファンのほか、自身でも絵を描く方も多かったためか、イラストレーションの技法など、かなり突っ込んだ質問も寄せられました。

「吉田さんはキャラクターのデザインをするときに、どんな風に一から作り上げていくのでしょうか? 意識している点などを教えてください」という質問に、実際に液晶タブレットを使いながら、キャラクターデザインをした際に試行錯誤していた過程を再現しながら答えていく吉田氏。

たとえば、『交響詩篇エウレカセブン』のエウレカのキャラクターデザインを考えた時は、まず好みの女の子の造形から発想を膨らませていったのだそうです。

「最初に考えたのが、“エウレカは人間じゃない”ということ。初めは髪の長い女の子を考えたのですが、髪型は非対称のショートカットにし、さらにおでこを露出させ、つり目で表情があまりないキャラクターデザインにしました」

実は、エウレカが身につけている首輪やヘアピンは、キャラクターデザインを依頼された当初は設定として存在しておらず、吉田氏のアイデアによるものだそう。

「“こういうつもりで(首輪やヘアピンを)描いたんだけどどうだろう?”と監督に提案したところ、面白いと言ってもらえて、最終的にこれが活かされるストーリー展開になりました。この経験を通じて、僕はキャラクターデザインをすることでストーリーを変えることができる、と思ったんです。これは、アニメーターの領域だけではできないこと。デザイン側からやるからできるんですよね。だから、いつもキャラクターデザインをするときは、ストーリーを変えるような気持ちでデザインしています」

また、今回のイベントが開催されるきっかけとなった「edge」に絡めて、

「今回の「edge」にはいろんなタイプの絵が収録されています。すごく上手だったり、着想が豊かだったり……。アニメーターが職人としてだけではなく、一人の絵描きとして作品を発表していけるようになっていってほしいですね」と、クリエイターたちにもエールを送ってくれました。

最後に、「edge」に寄せた吉田健一氏のイラスト『護鬼 ゴールク』の直筆サイン&シリアルナンバー入り複製原画の購入権を賭けた抽選会が行われ、スペシャルトークイベントは終了しました。

【おまけ】吉田健一氏にファンズちゃんの色紙を描いていただきました!

イベント終了後の楽屋にて、吉田健一氏にわれらがFUN'S PROJECTのキャラクター、ファンズちゃんを描いていただきました!
1時間半以上におよぶイベント終了直後でお疲れのところ、本当にありがとうございました!

この直筆イラスト色紙は、DNPプラザのB1階にある、東京アニメセンターの常設展エリア“FUN'S PROJECT PARK”に展示しています。ぜひ直接ご覧になってくださいね!

これからも、FUN'S PROJECTでは人気クリエイターをお招きしたトークイベントやセミナーなど、スペシャルなイベントが続々開催されていく予定です。詳しくはFUN'S PROJECTのサイトをチェックしてくださいね。お楽しみに!

ゲスト紹介

吉田健一
1969年生まれ、スタジオジブリに入社し、『耳をすませば』『紅の豚』『もののけ姫』など、原画として参加。『OVERMANキングゲイナー』『交響詩篇エウレカセブン』『ガンダム Gのレコンギスタ』などいずれも話題作となった作品のキャラクターデザインを務めた。
アニメーターだけでなくイラストレーターとしても活躍し、書籍やCDジャケット等のイラストも務める。吉田健一氏が描く人物画は凛々しく清潔感があり、スタジオジブリが作り上げた視聴者側が感じる絵の受け入れやすさと、安彦良和氏の描く絵の魅力を継承しつつ、時代に即したデザインを世に送り出してきた。
Twitter @gallo44_yoshida

中武哲也
1979年11月16日生まれ、日本のアニメーションプロデューサー。株式会社Production I.Gを経て、2012年株式会社WITSTUDIOを設立、同社の共同創業者・取締役を務める。
TVアニメシリーズ 「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」「ギルティクラウン」等を制作。