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第4回夢王国と眠れる100人の王子様-宮崎 遊×ひいろゆきな-前編

アニメ声優系ニュースサイト「アニメイトタイムズ」と、アニメ、マンガ、ゲームなど、日本が誇るエンタメコンテンツの魅力を発信し、クリエイターやコンテンツホルダーとファンをつなぐサービス「FUN'S PROJECT」によるスペシャルコラボ企画の第4弾!
今回は、7月から放送中のTVアニメ『夢王国と眠れる100人の王子様』で、正体不明の王子キエルを演じている声優の宮崎 遊さんと、監督を務めているひいろゆきなさんにお話を伺いました。

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宮崎 遊(みやざき・ゆう)
俳協(東京俳優生活協同組合)所属。神奈川県出身。2014年、俳協ボイスアクターズスタジオに入所。2015年に俳協所属となった。『夢王国と眠れる100人の王子様』のキエル役は、アニメでは初のレギュラー。その他の主な出演作に、『TSUKIPRO THE ANIMATION』などがある。

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ひいろゆきな
富山県出身。専門学校を卒業後、土田プロダクションに所属し、アニメーターとして活動を開始。現在はフリー。演出家に転向後、2006年に『学園ヘヴン BOY'S LOVE HYPER!』で監督デビュー。その他の主な監督作品に、『ちゅーぶら!!』『ひとりじめマイヒーロー』などがある。

「アニメイトタイムズ」と「FUN'S PROJECT」の両サイトで同時に公開されているこの前編では、アニメ『夢王国と眠れる100人の王子様』に関してのクロストークが展開されます。原作は、2015年のリリース以来、女性を中心に多くのユーザーに支持され、全世界で1,000万ダウンロードを突破している人気アプリ。ファンの期待も大きな作品で、アニメオリジナルキャラのキャストに大抜擢されたことへの思いや、アニメ化にあたって特に大事にしていることなどを語っていただいています。
そして、「FUN'S PROJECT」限定公開となる後編では、宮崎さんとひいろさんが、声優や監督になるという夢をどのように実現させたのか。その歩みの中で直面した出来事などについて、お話を伺っています。

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最初の頃は、とにかく
「キエルになる」ことで必死だった

─最初にひいろ監督に伺いたいのですが、『夢王国と眠れる100人の王子様』(以下、『夢100』)のアニメ化に監督として参加することになった経緯を教えてください。

ひいろゆきなさん(以下:ひいろ)
アニメ会社の社長さんからお電話をいただいたのが最初です。『夢100』というタイトルは、それよりも前に聞いたことがあって。「100人も王子様がいるって、もしアニメになったら、誰が(監督を)やるんだろう。大変そうだな」と思っていたんですよ(笑)。だから、まさかその話が自分のところに来るとは、と驚きました。

─では、監督が最初に考えたのは、どうやって大勢の王子さまを登場させるか、ということだったのですか?

ひいろ
本当に100人出そうと思ったら、1話で10人出しても10話かかりますからね(笑)。でも、私が参加した時点で、全体の構成はある程度できあがっていて。キエルやセティークを出そうということも決まっていたんですよ。二人のデザインは原作のジークレストさんなのですが、彼らのキャラクターを構築しながら、作業を進めていった形です。
宮崎 遊さん(以下、宮崎)
そうだったんですね。

─アニメの第1話からメインキャラクターとして登場しているキエルとは、どのようなキャラクターなのか、宮崎さんの言葉で紹介していただけますか?

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宮崎
キエルは、1話の時点で記憶が無くて。自分が王子なのかどうかも、よく分かっていない状態だったんです。そのせいか、目の前の出来事や会話などに全力で反応するんですよね。すごく明るいし大きなリアクションを取るので、最初の頃は、とにかく「キエルになる」ことで必死だったんです。でも最近は、少しだけ……なんというか……。

─「キエルになる」ことにも慣れてきた?

宮崎
そうですね。そういう感じもあって、キエルみたいな友達と一緒に遊びに行くと楽しいだろうなと、思ったりします。

─ひいろ監督も、宮崎さんの演じるキエルに変化を感じますか?

ひいろ
1本目、2本目、3本目で、すごく成長しています。
宮崎
(笑顔で)ありがとうございます! ありがとうございます!
ひいろ
びっくりするぐらい。
宮崎
ありがとうございます! めちゃめちゃ嬉しいです……。

─具体的に、どのようなところに成長を感じますか?

ひいろ
技術的なことですよね。実際、ディレクター(音響監督の藤田亜紀子)さんから、ストップがかからなくなりました。1話の時は、かなりストップがかかっていたので(笑)。
宮崎
1話ではすごく緊張していたこともあって、音響監督さんからは、かなりビシバシと(ディレクションを)言っていただきました(笑)。ただ、あの日がきっかけで「絶対に負けない!」という強い気持ちを持てて。次のアフレコまでの1週間は、全ての時間を費やすぐらいの勢いで練習しました。
ひいろ
(2話のアフレコでは)それがすごく演技に出ていたので、「ああ、気の強い子が出てきたな」と思いました。(負けたくないという)気持ちがすごく分かりやすかったんですよ。
宮崎
分かりやすかったですか? 恥ずかしい……(笑)。
ひいろ
ははは(笑)。でも、それはお仕事をする上で大切ですよね。次の週に来なかったら、どうしようと思っていたので(笑)。
宮崎
いやいや、そんなことはしません!(笑)。
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常にユーザーさんの特徴を意識して
しっかりとツボを突いていけるように

─キエル役はオーディションを経て、決まったのですか?

宮崎
オーディションだったのですが……。2018年に入ってから受けたオーディションの中で一番自信の無かったオーディションで。手応えが全く無かったので、終わった後にめちゃくちゃ凹みながら帰ったんです。「やっちまった~」ぐらいの気持ちだったので、絶対に落ちたと思っていました。だから、事務所のデスクの方に「おめでとう」と言われた時には、「何がですか?」みたいな気持ちになったことを今でもすごく覚えています。

─なぜ、そこまで自信がなかったのですか? 何か大きなミスでも?

宮崎
技術的な面も含めてダメだったなって。今もまだまだ全然ダメなのですが、それ以上にいたらなかった頃に受けたオーディションだったので。キエルというキャラクターの明るさを出す時、無駄に力が入っていたんです。音響監督さんがブースの中にまで来て「もっとこうして!」などと指導して下さったのですが、全然応えられなくて……。「俺は一体何をしているんだろう」と思いながら帰りました。

─そんなオーディションから現在までの宮崎さんの成長度合は、ひいろ監督の予想を超えるものだったのでしょうか?

ひいろ
そうですね。オーディションで最後に残った数名の中から、「この人なら、きっと良いキエルにしてくれるだろう」ということで意見がまとまり、宮崎さんにお願いすることになったのですが。アフレコがスタートした頃は、音響監督さんが(宮崎さんの中に)手をズボっと入れて(良い芝居を)引っ張り出してくれた、みたいなところもありますね(笑)。
宮崎
本当にそういう感じです(笑)。

─この記事が公開されるのは第7話の放送直前なのですが、キエルの過去についても、少しだけ明らかになってきました。宮崎さんがキエルを演じる際、特に意識していることを教えてください。

宮崎
6話、7話くらいからキエルの過去についても、少し語られていくのですが。基本的にキエルは、すごく明るくて飄々としているキャラクターなので、とにかく素直な反応がどれだけできるかをすごく大事にしています。

そのためにも、アフレコの時には雑念を捨てるというか。何も考えずにマイク前に立つことをすごく大事にしています。自分が空っぽになれたら、アヴィ役の鈴村(健一)さんの投げた言葉とか、映像で起きている出来事などにも、キエルとして素直にポンと反応ができると思うので。

─「俺、今、あの鈴村健一さんとお芝居してる!」とか思うと、お芝居にとってはマイナスになるわけですね。

宮崎
それをやっちゃうのは一番ダメですね(笑)。本当に、どうしようもないもの(芝居)が出てきちゃうので。そういうことは、絶対に思わないように気をつけています。
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─では、ひいろ監督に伺いたいのですが、『夢100』をアニメ化するにあたって、特に大事にしていることは何ですか?

ひいろ
常にユーザーさんの特徴を意識しておくことかなと思います。(アプリの)メインのユーザーさんは女性の方になるのですが、色々なタイプの王子様がいるので、ユーザーさんの好みも幅広いと思うんです。だから、それが偏らないようにしつつも、ツボをしっかりと突いていけるようなお話作り、キャラ作りをできればということは考えています。原作者さんにも「アニメでは、こういう風にしたいのだけれど、これは(『夢100』の作品から)外れてはないですか?」などと、確認しつつ作ってきました。

─アニメにも大勢のキャラクターが登場していますが、その中でもキエルの魅力について、ひいろ監督はどのように捉えていますか?

ひいろ
キエルの魅力ですか……。
宮崎
すごく気になります!
ひいろ
他人との距離が近いところですね。いますよね、そういう人。
宮崎
いますね。一緒にボーリングとか行ったら、間違いなく楽しそう(笑)。
ひいろ
そうそう。友達にいたら楽しいタイプですね。
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ここからは最終回に向けて
キエルの記憶の謎に切り込んで行く

─すでに放送されている第6話までの中で、特にお気に入りだったり、ぜひ観返してほしいエピソードなどを教えてください。

ひいろ
6話までだと、(キエルではなく)他の国の王子様を推しているんですよね(笑)。
宮崎
え? そうだったんですか?(笑)。
ひいろ
まあ、推すというか(笑)。まずは、その回で主人公たちが訪れる国の王子様を見せなくてはいけないので。その隙に、彼らのことを描きながらも、少しずつキエルたちのお話も進めるという形になっています。

─キエルやアヴィは、毎回、登場するので少しずつ描いてく感じになっているのですね。

ひいろ
そうなんです。
宮崎
僕は、2話と3話の「月影の国」のお話が大好きなんです。兄弟の絆の深さをすごく感じられる作品になっていて。3話でゲイリーが呪いのせいで暴走状態になっちゃうんですけれども、ギルバートだけは絶対に兄さん(ゲイリー)が戻ってくると信じ、「俺は信じている」ということを叫び続けるんですよね。その時のギルバート役の立花(慎之介)さんのお芝居は、見ていても本当に心にグッと来るものがあって。僕にも弟がいるのですが、この回は特に兄弟のいる方には、ぜひ観ていただきたいですね。兄弟を大切にしたくなるお話だと思います。
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─では、ひいろ監督は、キエル以外のキャラクターで、特にお気に入りのキャラクターはいますか?

ひいろ
ナビが可愛いですよね。すごく動いていたりもするので。
宮崎
1話で動いたナビを観た時、めちゃくちゃ可愛かったです。
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─ナビ役の山下大輝さんのお芝居も可愛いですよね。

ひいろ
1話の最初の台詞は、目が覚めたばかりで何も分からない女の子(主人公)に、バーッといろいろな情報を与えていくので、何か怪しい勧誘みたいに見えてしまわないか、ずっと心配でもあったんです。
宮崎
あはは(笑)。
ひいろ
でも、山下さんの演技を聴いて、「このナビなら一緒に行けるな」と思いました。

─では、第7話以降の見どころを大きなネタバレにならない範囲で教えてください。

宮崎
いよいよ、キエルの失われた記憶の秘密に本格的に触れるようになっていきます。それまでの飄々として明るくて、友達にするとすごく楽しそうという面だけではなくて。キエルの根っこの部分がどんどん見えてくるので、そういったところを楽しみに観ていただけたらと思います。
ひいろ
ここからは最終回に向けて、キエルの記憶の謎に切り込んで行き、セティークたちとの過去の関係も語られていきます。さっき(前半は)他の国の王子様を推していると言いましたが、作品全体としては「キエル推し」の作品でもあるので(笑)。
宮崎
あ、そうだったんですね(笑)。
ひいろ
もちろん、そうですよ(笑)。
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【取材・文=丸本大輔 撮影=相澤宏諒】

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宮崎 遊(みやざき・ゆう)
俳協(東京俳優生活協同組合)所属。神奈川県出身。2014年、俳協ボイスアクターズスタジオに入所。2015年に俳協所属となった。『夢王国と眠れる100人の王子様』のキエル役は、アニメでは初のレギュラー。その他の主な出演作に、『TSUKIPRO THE ANIMATION』などがある。

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ひいろゆきな
富山県出身。専門学校を卒業後、土田プロダクションに所属し、アニメーターデビュー。現在はフリー。演出家に転向後、2006年に『学園ヘヴン BOY'S LOVE HYPER!』で監督デビュー。その他の主な監督作品に、『ちゅーぶら!!』『ひとりじめマイヒーロー 』などがある。