中川翔子のポップカルチャー・ラボ連載第5回画家・絵本作家ヒグチユウコ

Photo : Shuya Nakano Styling:Aya Omura Hair and Make:Toh Text by Takanori Kuroda Edit:Takuro Ueno (Rolling Stone Japan)

FUN'S PROJECT TOP > ヒグチユウコ対談

クリエイター共創プロジェクト「FUN'S PROJECT」がお送りする連載企画。中川翔子さんと多彩なゲストによる、クリエイターの「こだわり」にフォーカスしたトークセッションを毎回お届けします。第5回のゲストは画家・絵本作家のヒグチユウコさんです。

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中川翔子
女優・タレント・歌手・声優・イラストレーターなど、多方面で活躍。東京2020大会マスコット審査員や、2025年万博誘致スペシャルサポーターとしても活動中。音楽活動では、11月28日にニューシングル「blue moon」をリリース。作詞にも携わり、大切な人との絆を描いた本作は、人気テレビアニメ「ゾイドワイルド」の10月期エンディングテーマに決定している。また12月20日に4年連続のクリスマスディナーショーをザ・プリンスパークタワー東京にて開催予定。さらに、11月2日公開のマーベル映画『ヴェノム』の日本語吹替版で、主役の彼女で重要な役であるアン・ウェイングを演じる。
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撮影:井上佐由紀

ヒグチユウコ
画家・絵本作家。東京都在住。東京を中心に定期的に個展開催しつつ、ファッションブランドや画材メーカー等、さまざまな企業とのコラボを展開している。近作は『いらないねこ』(白泉社)、『型抜きPOSTCARD BOOK』(グラフィック社)。ほかにも、『せかいいちのねこ』(白泉社)、『ふたりのねこ』(祥伝社)、『ギュスターヴくん』(白泉社)、『ヒグチユウコ作品集』(グラフィック社)など、多数の著書を出版。
http://higuchiyuko.com/
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ヒグチユウコ作品集

出版社:グラフィック社

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せかいいちのねこ(MOEのえほん)

出版社:白泉社

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ギュスターヴくん(MOEのえほん)

出版社:白泉社

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第1回

第2回

第3回

第4回

第5回

第6回

第7回

「新作のモデルになった息子との関係」

アニメクリエイター、イラストレーター、ゲームクリエイター、声優など、日本が誇るポップカルチャーの領域で活躍している方々と、中川翔子による一対一のトークセッション。今回のゲストは、画家で絵本作家のヒグチユウコさん。対談の後編では、ヒグチさんの愛息の話からヒグチ先生の作品のルーツまで、幅広すぎるトピックで盛り上がりました。

中川
最近は、どんなお仕事をされましたか?
ヒグチ
8月売りの『SPUR』という雑誌で、私が描いた「花とネコ」のPVCトートバッグを特別付録にさせてもらいました。で、このトートバッグと自分の家のネコの写真を、「#spurcatチャレンジ」のハッシュタグをつけてポストしてもらうというキャンペーンを9月3日までやったんです。その中から抽選で1名の方に、私の作品を扱うオンラインショップ「ボリス雑貨店」の新作トートバッグをプレゼントするという。
中川
わー、太っ腹! しかも可愛い……。
ヒグチ
それと、こちらは次の書籍です。ぬいぐるみのニャンコが主人公で、今まで『せかいいちのねこ』『いらないねこ』と2冊出してきたんですが、その3冊目。本物のネコになって、持ち主の男の子にずっと可愛がられたいと願うニャンコが、「ネコのヒゲを集めて体の中に入れれば本物になれる!」と勘違いして「ヒゲ集めの旅」に出る話なんですよ。
中川
「ヒゲ集めの旅」! 可愛すぎる……(笑)。
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ヒグチ
それが、『せかいいちのねこ』。結局、自分はネコになれないことが分かるんだけど、それでも愛情はもらえたというお話です。このぬいぐるみの持ち主、実は息子がモデルでして。今もう小学生になったんですけど、未だにそのぬぐるみを大事にしているんですよ。もうボロ雑巾みたいに真っ黒になっちゃってるんですが(笑)。
中川
へえ! こんな可愛らしくて不思議な親で、しかも作家さんっていうのは息子さんにとってはどんな気持ちなんだろう。やっぱり絵は好きですか?
ヒグチ
中川さん、昨日『荒木飛呂彦原画展』へ行かれてましたよね? 私も昨日、息子と行ってきたんですよ。今までずっと息子に「ジョジョを読め」と言い続けてきたんだけど、最初はなかなか興味を持たなくて。3年生くらいになってようやくハマってくれたんですよね。
中川
親が「ジョジョを読め」なんて言う家庭に育つとか最高すぎる! 英才教育!
ヒグチ
(笑)。最初は水木しげるから入って。水木先生が『のんのんばあ』で育ったように、息子は『妖怪大図鑑』で育てようと思って(笑)。小さい頃は、七夕になると必ず短冊に「鬼太郎になりたい」と書いて(笑)、ハロウィンになると鬼太郎のコスプレが鉄板という子どもに育ちました。
中川
なんという環境……!
ヒグチ
毎年、境港も行ってますし、『悪魔くん』も大好き。水木先生がお亡くなりになったときは、お葬式にも行っていました。他にもたくさん漫画や絵本を読んでいるので、オタクの道へまっしぐらです(笑)。だんだん早口になってきてるし。
中川
オタクって早口なんですよね。あれ、なんでなんだろう……(笑)。私、まだ子どもはいないんですけど、妄想の子どもにどんな作品を教えるかをいつも悩んでいるんです。これだけ娯楽が溢れているなか、何を優先して買い与えて教えるか、どういうことを言ってあげたら上手いこと生きていけるのかをずっと心配してて。明け方まで眠れなくなったりするんですよね。今日はだからすっごく参考になってます。
ヒグチ
(笑)。あ、でも、伊藤潤二先生のお嬢様を見てると、何かに過剰なまでに熱中するタイプになるかどうか小さい頃から決まるんだなって思いましたね。うちの息子と伊藤先生の第一子が、すごく気質が似ていて。2人で話しているともう雰囲気ぴったりなんです(笑)。下の子はお絵描きが上手ですが、すごく活発な子で。
中川
へえ!
ヒグチ
いずれにせよ伊藤家は奥様がイラストレーターの石黒亜矢子さんだしサラブレットですから、2人ともどんな風に成長していくのか今から楽しみですね。
中川
ボリスと息子さんの関係はどうなんでしょう。仲良し?
ヒグチ
息子とネコは上手くいってないですね(笑)。今朝も、私が作業場で寝ていて、息子が起こしに来てくれたんですけど、ネコが部屋の前で立ちはだかっていがみ合っていたみたいです。息子の「やめろよ、起こしに来ただけだろ!」って声が聞こえて来ました。
中川
ネコって好き嫌いがはっきりしてますからね(笑)。ところで先生は漫画家になろうとは思わなかったのですか?
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ヒグチ
漫画家を志すことがなかったんです。憧れてはいたけど、「描けないな」というのがすぐに分かったというか。絵本は描けても、漫画特有の「コマ割り」とかはできないなと。それで絵描きを最初は目指したんですよね。
中川
どんな絵を描いてました?
ヒグチ
怖い絵を描いてました(笑)。お寺に行くと地獄絵ってあるじゃないですか。あれを見て記憶に焼き付けて、家に帰って「針山地獄」や「血の池地獄」なんかを描いてたのは覚えています。だから、ホラー映画も大好きなんですよ。仕事ではネコを描く依頼が多いんですけど、この間、『IT/イット』のコメントを書かせてもらったのはうれしかったですね。試写会は羽海野チカちゃんと行ったんですけど、彼女はホラー苦手なのでティッシュペーパーを頭から垂らして字幕以外の画面を隠して観てましたね(笑)。
中川
そっか、先生の絵の中にちょっと怖い要素があるのはそういうわけなんですね。ちなみに、人生で一番好きなホラー映画は?
ヒグチ
小学2年生の頃に初めて観た『サスペリア』ですかね。今度、ルカ・グァダニーノ監督のリメイクが公開されるじゃないですか。すごく良さそうなので楽しみです。
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中川
『サスペリア』の世界って、照明の使い方とか音楽とか、綺麗な女の子が怖い目にあうとか、すごくヒグチさんワールドに通じるものがありますよね。
ヒグチ
そう!(笑) 素晴らしいですよね。あと、フェデリコフェリーニもホラーを1本撮っていて、それもすごく好き。私の少女像の原型は、おそらくフェリーニとサスペリアだと思いますね。あと楳図かずお先生。最初に買った楳図先生の漫画も『恐怖』だったし。『恐怖』シリーズの美少女たちは、やはり影響あったのかなって思います。
中川
私、13歳くらいのときに人生で好きなものが決まったビッグバンを経験しているんですけど、ヒグチさんの「脳みそビッグバン」はいつですか?
ヒグチ
なんだろうな……『水木しげるの妖怪図鑑』を一生懸命真似して描いていたのも大きいけど、あれは幼稚園のときですし。細かい絵を描くのが好きなのは、そこから来ているのかもしれないですね。もともと、手近な家にあるチラシの裏やいらない紙にかきはじめ、それから油絵に入りました。でもそのあと油でなくても手短なボールペン画とかのほうが性に合ってると、ぐるっと一周した感じです。
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中川
そこで一周回ったんですね。
ヒグチ
でもやっぱり、人生を変えた作品ということで言えば『サスペリア』かな。
中川
伊藤先生からの影響はどうですか? 漫画家の中でも線の細かさでは一位二位を争いますよね。
ヒグチ
『ギョ』とかね。カビが家中に蔓延る感じとかも大好き。壁にカビが生えて、ズルッといくあの感じとか(笑)。私はおそらく、トライポフォビア(小さな穴や斑点などの集合体に対する恐怖症)的なものが逆に大好きなのでたまらない。あれがダメな人は、伊藤先生の作品は難しいですよね。どうですか?
中川
私も好きです(笑)。
ヒグチ
じゃないと伊藤先生も楳図先生も読めないか(笑)。あと、大学生の頃『うずまき』がメチャメチャ流行ってスピリッツで読んでたんですけど、「伊藤先生が、こんなメジャーな雑誌に描いている! しかも、こんなにクオリティの高い作品を!」という衝撃が走りました。なんて言ったらいいのだろう、「羨望」と「嫉妬」みたいな感じでしたね。まさか大人になって、お会いするようになるとは思いもよりませんでしたけど。あんな人畜無害そうな人が、あんなこと考えてるのかと思うと恐ろしいですよね(笑)。
中川
ホントそうですよね、虫も殺さなさそうな人なのに! あと、先生の絵ってネコとタコがくっついてたり、木の枝なんかが体の一部になったりしているじゃないですか。そういう組み合わせは、どんなときに浮かんでくるんですか?
ヒグチ
うーん、描きながらですかね(笑)。あまりラフを描かず、描き進めるうちにどんどん思いつくっていう感じです。
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中川
描いていて、一番テンションが上がるのは? やっぱりネコ?
ヒグチ
ネコではないですね。ネコは、家にいるのでモチーフになりやすかっただけで。生き物は基本的に大好きです。昆虫とか、爬虫類とか。鱗みたいなものが好きなのかも。ワニはとにかく好きですね、大好き。根っこも好きかな。血管に近いというか。ミクロもマクロも一緒な感じがするじゃないですか。そういう、できるだけ身近なものから入って広がっていくみたいな。
中川
ネコじゃないのは意外でした。じゃあ、好きな色は?
ヒグチ
赤系は基本的に好きですね。くすんだ色も基本的に使う。善悪と一緒で、濁っている色、汚いとか汚れていると言われるものも、側にあるから光るみたいな。暗い面と明るい面が対比であったほうが、より光も闇も際立つと思っているので。
中川
あと、好きな食べ物はなんですか?(笑)
ヒグチ
私、あんまりないんですよね。食べてお腹いっぱいになると寝ちゃうので、基本的に空腹で仕事をしたい(笑)。で、食べてそのままバタンと寝るみたいな生活。24時間周期で生きてないですね。電池が切れたときに寝るっていう。基本的に夜型なので、深夜に作業してデザイナーさんと外食することもあります。で、昼間に寝るっていう。
中川
私も夜中が大好きなんですよね。深夜に本を読んじゃったりして。
ヒグチ
でも、肌とかツルッツルですよね。視力は落ちてないですか?
中川
今のところ大丈夫です。
ヒグチ
私もそうなんですよ。子どもの頃とか闇の中で本を読んだり絵を描いたりしてたのに(笑)。全く悪くならない。体質なんでしょうね。腱鞘炎も全然ならないし。「目と手だけ強いね」ってよく言われます。みんな、テーピングしながら描いているのにね。
中川
まだまだお聞きしたいことたくさんあるんですけど、時間が来てしまったみたいです。今日はありがとうございました。お子さんの話を聞けて、すっごい子孫を産みたくなりました!
ヒグチ
(笑)。今度、伊藤先生も含めてゴハン食べに行きましょうね。
中川
ぜひぜひ! こないだ伊藤先生と一緒に行った、お肉屋さんが美味しかったのでそこに行きましょう!
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中川翔子
女優・タレント・歌手・声優・イラストレーターなど、多方面で活躍。東京2020大会マスコット審査員や、2025年万博誘致スペシャルサポーターとしても活動中。音楽活動では、11月28日にニューシングル「blue moon」をリリース。作詞にも携わり、大切な人との絆を描いた本作は、人気テレビアニメ「ゾイドワイルド」の10月期エンディングテーマに決定している。また12月20日に4年連続のクリスマスディナーショーをザ・プリンスパークタワー東京にて開催予定。さらに、11月2日公開のマーベル映画『ヴェノム』の日本語吹替版で、主役の彼女で重要な役であるアン・ウェイングを演じる。
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ヒグチユウコ
画家・絵本作家。東京都在住。東京を中心に定期的に個展開催しつつ、ファッションブランドや画材メーカー等、さまざまな企業とのコラボを展開している。近作は『いらないねこ』(白泉社)、『型抜きPOSTCARD BOOK』(グラフィック社)。ほかにも、『せかいいちのねこ』(白泉社)、『ふたりのねこ』(祥伝社)、『ギュスターヴくん』(白泉社)、『ヒグチユウコ作品集』(グラフィック社)など、多数の著書を出版。
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