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中川翔子のポップカルチャー・ラボ連載第1回中川翔子単独インタビュー

Photo : Shuya Nakano Styling:Aya Omura Hair and Make:Toh Text by Takanori Kuroda Edit:Takuro Ueno (Rolling Stone Japan)

クリエイター共創サービス「FUN'S PROJECT」がお送りする連載企画。中川翔子さんと多彩なゲストによる、クリエイターの「こだわり」にフォーカスしたトークセッションを毎回お届けします。

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中川翔子
女優・タレント・歌手・声優・イラストレーターなど、多方面で活躍するマルチタレント。現在、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のマスコットを決める「東京2020大会マスコット審査会」審査員としても活動中。また、近年は女優として積極的に活動を行い、2015 年には朝の連続テレビ小説「まれ」に出演。2017年にはTBS系ドラマ「あなたのことはそれほど」で、横山皆美役を演じた。今年1月にはミュージカル「戯伝写楽2018」にヒロイン・おせい役として出演し、4月からはNHKドラマ「デイジー・ラック」にカバン職人・讃岐ミチル役として出演している。
http://www.shokotan.jp/

私にとって「ものづくりをする人」というのが
最も尊く、憧れの存在なんです。

今回から装いも新たにスタートする「中川翔子のポップカルチャー・ラボ」。これまでのマンガの枠組みだけにとどまらず、アニメクリエイター、イラストレーター、ゲームクリエイター、声優など、日本が誇るポップカルチャーの領域で活躍している方々との、一対一のトークセッションをお届けしていく。リニューアル第一弾となる今回は、中川翔子本人の単独インタビューを実施。イラストの連載や、自身のブランド「mmts(マミタス)」のデザインまで手がける彼女の、クリエーターとしての側面に迫った。

─中川さんは、デビュー当時からクリエイターとしての活動もするつもりでしたか?

中川翔子(以下、中川)
いやいや、「クリエーター」だなんておこがましいです……! ただ、私は子どもの頃から好きなことと興味のないことがハッキリ分かれていて(笑)。絵を描くこと、マンガを読むこと、ゲームをすること、猫がいること、一人でいることが好きで、それは今後も死ぬまでブレないと思うんですけど、「これ一本でやっていくぞ!」というふうには絞り切れなくて。「好き=お仕事」となれるとも思っていなかったから、芸能界というフィールドで自分がこうやって活動するなんて想像もしていませんでした。

─10年くらい前から「しょこたん☆ぶろぐ」をちょくちょく読ませてもらっているのですが、そこで中川さんが綴っていた数々の夢が、次々と叶っていく様子を何度も目撃しました。

中川
「好きなことって、仕事にもなるんだ!」って本当に思いましたね。もう、夢が叶い過ぎてて怖いくらいです(笑)。例えばmmts(マミタス)というブランドは、BEAMSさんとコラボして5年目になります。これも「中野ブロードウェイでお店を開きたい」とか、「猫や宇宙など好きな絵を描きたい」とか、いろんな夢が一つになったんですよね。最近は、『深海魚展』がきっかけででハマったリュウグウノツカイや、初恋の相手だった木星を描きためていたら、それをデザイナーさんにブラッシュアップしていただき、なんと洋服の柄になったりして。

─本当に、「好き」という気持ちが原動力なんですね。

中川
逆に。お金のこととか何にも考えてなかったんですよね。「これが好き!」ということを、とにかくすぐ言葉にして形に残しておくことが、何よりも大事なんだなって、20代の頃は本能的に感じていたんだと思います。その後、クリエイター界の大先輩や、レジェンドのような方々から話を聞くと、皆さん揃って「“好き!”“楽しい!”って思うことが何より大事」とおっしゃっていたので、間違ってなかったと思います、「ああ、やらなきゃ」とか「やらされてるんだ……」とか、ちょっとでもよぎったらいけない。

─「好きこそ物の上手なれ」とも言いますしね。

中川
でも、今やっているドラマ『デイジー・ラック』の中で、自分が演じている讃岐ミチルちゃんが言うんですよ。「好きなことで食べていくって、簡単なことじゃないと思うよ」「体を壊したら終わりだし、必死に頑張ったってお金がたまらないかもしれない。何があっても自己責任だよ」って。まるで自分が言われてるような気持ちになりました(笑)。そんなこと少しも考えず、ここまでやってこられたのは本当にラッキーなんだなって思いました。
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─リニューアル前の本連載では、衛藤ヒロユキさんや奥浩哉さんといった、中川さんにとって憧れの方たちと対談してきました。毎回、ゲストに対する中川さんのリスペクトがビシビシと伝わってきましたね。

中川
私にとって「ものづくりをする人」というのが最も尊く、憧れの存在なんです。もちろん自分でも「ものづくりが出来たらいいな」と思うんですけど、なかなか難しいですよね。突発的に浮かんできたアイデアを思いつくがまま描くことは出来ても、「さあ、今からイラストを描くぞ」と思って始めると大抵はうまくいかない。だから、プロのクリエイターさんってすごいなあと思うんですよね。気分とかそういうムラは一切なく、「描こう」と思って作り出したキャラクターで人を虜にしたり、多くのスタッフを雇ったりしているわけですよね。マンガやアニメ、ゲームが、人の青春や人生を動かしているのかと思うと、すごいことだなって思います。

─小さい頃から絵を描くのは好きでしたか?

中川
好きでしたね。でも、大抵は何かの二次創作、模倣なんですよね。自分でオリジナルなものを作るのってすごく難しいことだと思います。とにかく、好きな作家さんの作品を模写するのが私はすごく好きで。模写をすると、より凄さが分かるんですよ。「この人はなぜ、ここにこんな線を描いたんだろう」とか、「この背景は、どこまでが手描きでどこからがデジタルなのかな」とか。いろいろ考えるし発見があるんですよね。絵でもメイクでも歌でも、最初はとにかく真似しまくります。そこから自分の味を出していく……。そんなふうに好きなことだけやってたら、気がつけばいろんな道につながっていったんです。

─イラストを描くときの道具にはこだわってますか?

中川
最初に「漫画家の道具」みたいなものを買い集めたのは、『ドラクエ4コマ(ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場)』に投稿した小学生の頃でしたね。それで、ちょっとしたコピー本を作って友達に配っていました(笑)。そのあと、少女漫画の通信講座に申し込んだら、Gペンの使い方とか教えてくれるビデオが付いてきて。それを観ながらスクリーントーンの貼り方、定規の使い方などを学んでいきましたね。道具でいえば、コピック(カラーマーカー)を集めていました。当時のお小遣いはコピックとスクリーントーンに消えていきましたね(笑)。18歳のとき、『映画秘宝』という雑誌にイラストを描く連載が始まって。そこでようやく、小学生の頃に買い集めた画材が役に立ちました(笑)。

─そうだったんですね。

中川
しばらくアナログで描いていたのですが、途中からPhotoshopになって。でもタレント活動をしながらだったので、完全に自己流でしたけどね。『映画秘宝』とは別に、趣味でもPixivとかに投稿し始めるのですが、そのうち絵を描くツールもSAI、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)と変化していって。ただ、デジタルだと原画が残らないということに気づいてからは、まず鉛筆で作画し、それをハンディスキャナで読み取ってから、クリスタで色を塗るというやり方に変えました。

─時代によって使う道具も変わってきたのですね。

中川
ロケに行ったり楽屋で待っていたりする時間が長かいので、「ここに画材道具を持ち込めたらいいのにな」ってずっと思っていたから、パソコン搭載型の液晶タブレットが出たときは本当にうれしかったですね。30万くらいしたし、ものすごく重たかったんですけど(笑)。で、やっと去年、iPad Proがでた。「遅いよ人類! やろうと思えばもっと早くできたんじゃないの?」って思ったけど(笑)、iPad Proのおかげでまた便利な世の中になりましたよね。『コロコロアニキ』の原稿は、無料のソフトで描いたんですが、トーンまで貼れるのでビックリしました。これが子どもの頃からあったら、絶対人生変わるんじゃないかな。そういう魔法のアイテムが、今はたくさんあります。
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中川翔子
女優・タレント・歌手・声優・イラストレーターなど、多方面で活躍するマルチタレント。現在、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のマスコットを決める「東京2020大会マスコット審査会」審査員としても活動中。また、近年は女優として積極的に活動を行い、2015 年には朝の連続テレビ小説「まれ」に出演。2017年にはTBS系ドラマ「あなたのことはそれほど」で、横山皆美役を演じた。今年1月にはミュージカル「戯伝写楽2018」にヒロイン・おせい役として出演し、4月からはNHKドラマ「デイジー・ラック」にカバン職人・讃岐ミチル役として出演している。
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次ページ「たとえ二次創作でも、そこからまた何か新しいものが絶対に生まれる。」へつづく

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