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東京アニメセンター 2018.12.21

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15年後も色あせず…『鋼』を語る夜『鋼の錬金術師』SPトークショー

市ヶ谷の東京アニメセンター in DNPプラザにて、ボンズの20年を振り返る企画展「ボンズ20周年記念展」が開催されました(10月26日から11月25日まで)。

これに合わせて、11月24日に開催された「ボンズ20周年記念展 鋼の錬金術師 SPトークショー」の模様をレポートします。

『鋼の錬金術師』は2003年から2004年にかけて放送されたTVアニメ。原作のエッセンスを抽出しつつ、アニメ制作者のオリジナリティがいかんなく発揮された傑作として、放送開始から15年経った現在も根強いファンがいます。

『鋼の錬金術師』誕生秘話

登壇者は水島精二監督、ストーリーエディターの會川昇さん、キャラクターデザインの伊藤嘉之さん。司会進行を務めたのは、ボンズの大薮芳広さんです。

トークショーに先立って、『鋼の錬金術師』第7話「合成獣(キメラ)が哭く夜」が上映されました。第7話は錬金術への没頭と破滅、そして人間の尊厳を描いた、本作を語る上で絶対に外せない衝撃的なエピソード。まるで1本の映画のような濃密さのある話数で、実際にスタッフの熱量も高かったようです。

水島「第7話は、この話数専用の描き下ろしエンディングを作りました。当時のスタッフの思いが強かったんです」
伊藤「鈴木(典光/エンディング演出・作画)君が、この話数は特別にやりたいといっていて。やれるんだったらいいんじゃないって返したんです」

また、企画の成り立ちについては、伊藤さんと大薮さんの主導で2002年頃に立ち上がったといいます。

伊藤「ちょうど原作の第2巻が出た頃ですね。たまたま表紙買いをして自分の棚に置いておいたら、大薮君が面白いすっよねと声を掛けてきて。アニメ化になったら、キャラデザやるよって軽い気持ちでいったら、あれよあれよという間に企画が動いていきました」
大薮「夏ごろだったのですが、南(雅彦)さんと2人で話せれる時間があったので、そのときに企画書書きたいからバックナンバーをスクエニ(当時はエニックス)さんからもらえませんかってお願いしたのが最初ですね」

水島監督も当時、すでに第2巻までを読んでいたとのことで、アニメ第7話に当たるエピソードを読み、「アニメ化の話がきたとき、これはやりたいなと思った」そうです。また、會川さんは水島監督が誘ったといい、「オリジナルを入れつつ、まとめられる人がいいと考え、會川さんにお願いしました」と振り返りました。

◆それぞれの記念碑的作品

本作はもともとは2クール作品であり、企画が進む中で4クール作品になったといいます。會川さんは、当時の様子と制作の裏側をこう語りました。

會川「前半は別の仕事がかぶっていて、結構しんどかったです。原作(のストック)が足りなかったこともあり、最初の1クールは1話完結の話を多くして、2クール目から原作にうまく着地させ、原作第4、5巻で終わらせるというシリーズ構成を考えていました。前半は南さんの好みもあってたくさんのライター陣を揃えたのですが、そこから1年ものになったので、気持ちを切り替えて4クールのシリーズ構成に変え、4クール目からは全部自分が書くことになりました」

このほか、初期の座組の苦労話や『鋼の錬金術師』がどのように受容されていったかについて、当時のアニメ誌の記事を紹介しながらトークが交わされました。15年経った今も話題は尽きず、登壇者の皆さんにとっても、ボンズにとっても、いかに大きな作品だったのかがわかります。

トークショーの後半では、伊藤さんによるライブドローイングも行われました。アルとエドを描いたサイン色紙は、すでに描き上げていたロイのサイン色紙とあわせて、じゃんけん大会に勝ち残った来場者2名にプレゼントされました。

最後は登壇者3名からのメッセージで締めくくられました。

伊藤「こんなに多くの方が集まってくださり、ありがとうございます。ずいぶん昔なので忘れていることもあると思うんですけど、いまも作品を愛してくださる方がいっぱいいることが本当にありがたいです」

會川「『鋼の錬金術師』もそうですけど、私は『機巧奇傳ヒヲウ戦記』というボンズさんの最初のTVシリーズから関わらせていただいていて、節目節目でちょこちょこと作品をやらせていただいているので、ボンズさん20周年というのはとても感慨深いです。ボンズさんは今後また30年、40年、50年と発展していくのだと思いますので、皆さんにもそれを応援していただければと思います。ありがとうございました」

水島「『鋼の錬金術師』は自分にとっても代表作で、この作品のおかげでのちの仕事に繋がっていった非常に思い出深い作品です。15年経った今も“鋼の水島さん”と言っていただけることが多いので、これからもこれを糧にさらに新しい作品を作っていこうと思います。ボンズとも何かをやれたらいいなと思っておりますので、ボンズと『鋼の錬金術師』をこれからも応援してください。ありがとうございました」

水島「『鋼の錬金術師』は自分にとっても代表作で、この作品のおかげでのちの仕事に繋がっていった非常に思い出深い作品です。15年経った今も“鋼の水島さん”と言っていただけることが多いので、これからもこれを糧にさらに新しい作品を作っていこうと思います。ボンズとも何かをやれたらいいなと思っておりますので、ボンズと『鋼の錬金術師』をこれからも応援してください。ありがとうございました」

©荒川弘 / スクウェアエニックス・毎日放送・アニプレックス・ボンズ・電通 2004

TVアニメ「鋼の錬金術師」公式サイト