FUN'S PROJECT INTERVIEW
FUN'S PROJECT INTERVIEWではクリエイターの方々に独自インタビューを行い、未来のクリエイターの指針になるべく創作の原点や作品への思いを熱く語っていただきます。
#012 イラストレーター 米山舞さん2022.06.10
大人気イラストレーターの米山舞先生とFUN'S PROJECTのコラボレーションが実現! 米山先生が所属するSSS by applibotのグループ展「SSS Re\arise#1 EXHIBITION TOKYO」で、刺しゅうアートの技術を用いた作品が展示されます。その舞台裏について、米山先生にお話しいただきました。 もちろん、FUN'S PROJECTのインタビューですのでクリエイター活動についてもお伺いしています!
刺しゅうアートとは
無地の布地に刺しゅう加工と昇華プリントを施すことで、刺しゅうならではの重厚感ある立体的な表現や温かみと、昇華転写の細やかで自在な色彩表現を掛け合わせ、「つい触ってみたくなる」独特の表現を実現します。
米山舞×刺しゅうアート、その取り組みの裏側
今回の作品では刺しゅうアートを採用していただきましたが、この技術に着目した理由は?
こちらの刺しゅうアートについては以前よりご紹介いただいておりまして、図案の面に対しての刺しゅうの精度が素晴らしく、イラストの出力としてクオリティが高いなと感じていました。ただその当時は自分の絵と刺しゅうがどう結びついて完成とするかイメージが定まっていませんでした。
今回展示を行うにあたって、インテリアとしてのイラストというコンセプトを表現したい際に、透けている布に刺しゅうを施したレースカーテンのようなものが作れないかなと思い再度こちらからご相談させていただきました。
企画から完成までのプロセスにはさまざまな試行錯誤がありました。その中でこだわった点についてお聞かせください。
もともと刺しゅうに向いている後ろが透けないフェルト生地に刺しゅうを施すのですが、自分の希望は透ける布だったため、裏面への刺しゅう糸の影響や、刺しゅうによる布のヨレ、昇華プリントが乗らないなど対応する布の選別が難しかったです。プリントした後の透過具合も生地によって全然違うので、色んな布で印刷と刺しゅうのテストを繰り返していただきました。
完成した作品を最初にご覧になった時の率直なご感想はいかがでしたか?
もしかしたら上手くいかないかも…と思っていたので、最終に決まった生地と刺しゅうの見本を拝見した際は、ついにイメージが叶った…!と思いました。すごく綺麗で布の透過と糸の非透過のバランスが美しかったです。自分が欲しい!と思うものになりました。
今回FUN'S PROJECTと取り組んだ感想はいかがでしたか? 今後のFUN'S PROJECTへの期待もぜひ教えてください。
自分の無茶振りに対して、やっていなかった事を断ることなく、挑戦してくださり、そして実現してくださったFUN'S PROJECTのスタッフの皆様のプロ意識をひしひしと感じました。本当に感謝してもしきれません。こういう面積で糸の向きなど操作できるのか!というのが分かったので、刺しゅうの図案をさらにグレードアップさせた「透けるタペストリー2.0」を作りたいですね。またよろしくお願いします!
米山舞先生から、未来のイラストレーターへ
これまでに影響を受けた人・場所・モノなどはありますか?
小さい頃見ていたアニメーション(ナウシカ・セーラームーン・AKIRAなど)、アニメーション会社時代の諸先輩方、SSSのメンバーでしょうか。
作品をアウトプットする際に、どのような視点で部材や表現方法などを決めていますか?
まず、自分がほしいと思うかどうかで決めますね。個人的にはアクリル、アルミ、石材、など堅牢で残るものを好みます。または、手触りのあるもの、3次元的に工夫があるもの、五感に訴えかけるかなどで出力方法を決めることが多いです。
デジタルイラスト中心で描かれる中で、実際に見たり触れたりできる「モノ」にアウトプットすることにどのような魅力を感じていますか?
自分はちょうど「モノ」と「デジタル」の境目に育った世代なので、現代の技術を駆使して、デジタルでどの位モノを作れるかを敢えてやることが面白いと思ってやっています。
これからどのような作品を作りたい、どのような活動をしたいといった「目指す姿」はありますか?
その時々で楽しいと思うことをやっているあまりイメージしていませんが、自分の創るものでさまざまな世界と繋がっていたいと思います。
未来のイラストレーターに向けて、こんな経験をしておくとよいというアドバイスやメッセージをぜひお願いいたします。
絶対これ、というものよりはむしろ人と違う経験をしていると後々それが強みになったりするのではないでしょうか。
米山先生、ありがとうございました!
【おまけ】現場の声
データについては米山先生から明確な指示をいただけたので問題ありませんでした。一方で、製造についてはいろいろな試行錯誤をしました。
通常は裏地があるのですが、今回は透過を表現するために裏地がありません。加えて初めて取り組む素材だったため、刺しゅう工程や印刷工程での伸縮がどうなるか分からず、一時的に使う裏地の選定と合わせて何パターンも試してみました。その結果、先生にご満足いただける作品に仕上げることができて、我々も嬉しいです。
開催概要
名称
SSS Re\arise#1 EXHIBITION TOKYO
日時
2022/06/11(土)~2022/06/19(日)
10時から21時まで (最終日は18時まで)
会場
STUMP BASE (旧 MORIO STUDIO) 1F
107-0062
東京都港区南青山6-5-45
参加クリエイター
PALOW.
米山舞
タイキ
セブンゼル
BUNBUN
NAJI柳田
一才
公式サイト