FUN'S PROJECT INTERVIEW


FUN'S PROJECT INTERVIEWではクリエイターの方々に独自インタビューを行い、未来のクリエイターの指針になるべく創作の原点や作品への思いを熱く語っていただきます。

#011 新人漫画家 窮月ひなたさん2020.10.20

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今だから言えますけど「本当の話? 騙されているんじゃ……」って

専門学校を卒業して間もなくデビューが決まった窮月ひなたさん。 デビュー時の心境を聞いてみた他、現在連載中の『零の欠片-ゼロフラグメント-』の制作秘話や作画環境、学校で学んだことについても語ってもらいました。

まずはLINEマンガにて連載している作品『零の欠片-ゼロフラグメント-』(以下、ゼロフラ)についてお聞きしていきます。連載が始まってから約4カ月(インタビュー当時)が経過しましたが、開始当時と今で心境の変化はありましたか?


連載開始当初から今までずっと楽しく描かせてもらっています。連載が始まる前からキャラクターに愛情が沸いていて……。個人的にイツキ(宗像樹)が好きで可愛い子だなあ……と思っていたのですが、最近は自分でも気持ち悪いくらい(主要キャラの)レイジ(美津宮零児)、イツキ、サブロウ(磐井三郎)を愛でるようになってきましたね。ちょっと前までは練習がてらにアニメのキャラクターを描いてみたりしていたのですが、最近はゼロフラのキャラクターばかり描いてツイッターにアップしています(笑)。

作品には猫が多く登場されていますよね。作品の終了ページ後には猫たちが主人公の「あにまる探偵団」も描かれていますが、あの作品はどのように作られているのでしょうか?


動物が全般好きなんですが、その中でも群を抜いて猫が一番好きなんですよ。「あにまる探偵団」は私がオリジナルで自由に深く考えずに描いているので、ある意味で息抜きみたいな存在になっていると思います。これも描いていて楽しいですね。その時にアイデアが出たものを描いているので、見どころや魅力がどこにあるか……と言われたら自分では分かりませんが、実体験を元にして描いている場面もあるので、見ている方にとっては楽しめる部分もあるかなと思います。

『ゼロフラ』を描く経緯について話しをお伺いしていきます。本作は連載前に数人の中からイラストを描くコンペを開催したうえで窮月先生に決まった……という経緯があるそうですね。まず、連載が決まった時の心境はいかがでしたか?


実感がわかない…というか。少し前まで本当にただの学生だったので、突然そんな連載のお話しをいただいてしまっていいのだろうか…という気持ちはありました。本来であればマンガを持ち込みするなどして、段階を踏んで連載にたどり着く……というものだと思うのですが、それを飛ばして連載をすることになったので……今だから言えますけど「本当の話? 騙されているんじゃ……」って心の中で思っていました(笑)。

そんなウソのような話が現実になり、連載をすることになった窮月先生ですが、デビューにあたって意識的に取り組んだことなどがあれば教えてください。


正直にお話しすると何もしていないんです。先ほどの話のように色々なものを飛ばしてきたので、むしろ「焦ってしまって何をしたらいいのか分からなかった」というのが本当のところですね。

『ゼロフラ』に関して窮月先生は作画担当となっていますよね。作品を作る過程を教えていただけますか?


最初に原作者チームから文章で原作をいただきます。これを元にネームを作成して編集者に確認をしてもらい、赤字(修正指示の意味。出版業界などで使われる専門用語)を反映させて、編集者に再度確認を取って…という形でネームを終わらせてから下描き、ペン入れ……という進め方です。赤字を分かりやすく入れていただいているので助かっています。

『ゼロフラ』はスマホで見ることを前提としたマンガになっているかと思いますが、作画をしている際に気を付けていることは何でしょうか?


意識しているのは「コマの大きさ、コマ数」「フキダシの大きさ」ですね。媒体の種類によって、それぞれ描き方も変わってくるかと思いますが、自分の場合は癖がつく前に描き始めたこともあって「スマホに合わせて描くから作画が不便」だと思うこともないです。

専門学校に通ってよかったなって思いますね

窮月先生は専門学校を経て商業デビューされていますが、学校に入学しようと思ったきっかけと学校で学んでいたことについて教えてください。


小さい頃から絵を描くのが好きだったんです。自分が見て気に入ったものを真似て描くということを繰り返していたのですが、高校を卒業するタイミングでマンガを描いてみようかな……と思って入学したのがきっかけです。学校に入学してから本気でマンガに取り組みましたね。授業ではそれこそ最初はペンの持ち方から始まり、ペンの種類やトーンの貼り方といったものからマンガの描き方などについて教えてもらっています。アナログを基本とした形で行われていましたが、彩色に関してはクリスタ(CLIP STUDIO PAINT) SAI、Photoshopなどデジタルを使っていましたね。学校なので成績表もあったのですが、私は良くもなく悪くもなく…という感じで……。でも課題はキチンとやっていましたよ。入学するまでマンガを描いたことがなかったのですが、学校で初めて恋愛もののマンガを描きあげました。

専門学校を経て成長した部分はどこでしょうか?


連載していても学生の頃と描くスピードは変わらないですし、自分でもあまりよく分からないですが、以前よりはちゃんとした「マンガ」を描けるようになったかな……とは思っています。専門学校に通ってよかったなって思いますね。

ご自身が描く得意なキャラクター像はありますか? また苦手なものもあったら教えてください。


以前から女の子を描くのが好きです。だから女の子は得意かもしれませんね。しかも強気で性格がキツそうな女の子が好きなんです。『ゼロフラ』ではキャラクター設定を文書でいただいて、それを元に描いていますが、イツキは髪型の設定などもなかったので、こちらでショートカットに設定して提案しました。これが採用という形になっています。苦手なところは個人的に背景、パースですね。これは今後クリアすべき課題だと思っています。

現在執筆している作業環境についてお教えください。


現在はiPadで描いています。デジタルだけで描ける環境を調べていたらiPadでクリスタが使える……というのが分かったんです。先ほどの話でも出ましたが、授業でクリスタを使っていたということもあったので、現在はこの環境で執筆しています。学校で2年生になった時に個人的な作品はデジタルへ移行しましたが、授業に関してはそのままアナログ主体で勉強していましたね。

では最後に。現在はまだ『ゼロフラ』を描いている最中ですが、今後トライしてみたいマンガのジャンルなどがあれば教えてください。


今は特に考えていません。でも、いつか『あにまる探偵団』のような、ゆるっとした作品も描いてみたいかなあ…くらいの気持ちですね(笑)。

Profile

窮月ひなた(きゅうげつひなた)

新人漫画家。

出身地:三重県、出身校:あいち造形デザイン専門学校

趣味はひたすら洋楽とかクラブ系ミュージックを聞きながらラクガキする事です。あとなんにでもキムチ乗せて食べることです。

Twitter @kyugetsu_niku(外部サイト)

マンガ『零の欠片-ゼロフラグメント-』作品概要

■ストーリー


現実とのはざま“ヨモツクニ”で謎を解く!
殺人現場に必ず現れる、記憶を失くした美青年・美津宮零児(みつみや・レイジ) 。風景を写真のように記憶するアイデティック・メモリー(直観像記憶)と、たぐいまれな洞察力で事件解決の糸口をつかむ零児。さらに難事件を解き明かすパワーアイテム、死者の国とつながる電脳空間「ヨモツクニ」を発動し、その住人・磐井三郎(いわい・サブロウ)の協力を得ながら警視庁の宗像樹(むなかた・イツキ)と共に人間に潜む悪をあばく新感覚伝奇ミステリー!

■公式WEBサイト


zero-fragment.com(外部サイト)

■零の欠片-ゼロフラグメント-公式Twitter


@zerofragment_jp(外部サイト)

■LINEマンガ


manga.line.me/product/periodic?id=Z0000732(外部サイト)

原作:Teamきゃら漫画:窮月ひなた

© Hinata Kyugetsu/Team CHARA/DNP/LINE

オーディオドラマ概要

■内容


オーディオドラマ【零の欠片-ゼロフラグメント-】

第1譚「よもつくによりししゃきたる」

全7話配信予定

■CAST


美津宮零児:西山宏太朗

磐井三郎:八代拓

宗像樹:古賀葵

■配信先


ラジオクラウド

■制作


Team CHARA/DNP/ラジオクラウド/アールアールジェイ

作曲:須佐誠

※配信予定日は予告なく変更になる可能性があります。

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