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アニメイトタイムズ×FUN’S PROJECT 特別企画 vol.8 FLOWさんに聞く、数々の人気アニメ主題歌を手掛けるFLOW。その曲作りに迫る!【後編】

アニメ声優系ニュースサイト「アニメイトタイムズ」と、クリエイター共創サービス「FUN'S PROJECT」のコラボ企画!
さまざまな分野で活躍するクリエイターが語る「『つくる』楽しさ」を発信する特別企画、「クリトーク!」。

第9回となる今回の特集では、4月10日にニューアルバム『TRIBALYTHM』をリリースしたFLOWの皆さんにお越しいただきました!
今回のテーマは未来のアーティスト・クリエイターに向けてのメッセージ。バンドに興味を持っている若者に向けて、インタビューに答えていただきました。
後編では、“どうやったら曲を作れるようになるんだろう”“FLOWの場合はどうやってその道にたどり着いたのだろう”──そのヒントを教えていただきました。
(前編記事はこちらです)

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FLOW(フロウ)
KOHSHI(Vo)、KEIGO(Vo)、TAKE(Gt)、GOT'S(Ba)、IWASAKI(Dr)の5人組ミクスチャーロックバンド。 2003 年にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー。以来、シングル33枚、オリジナルアルバム10枚をリリース。 これまでに『NARUTO-ナルト-』『コードギアス 反逆のルルーシュ』『ドラゴンボールZ』などのアニメ主題歌・関連曲を手掛け、アニメ・ロックといった音楽のジャンルを超えた熱いライブを全世界で繰り広げている。
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左から GOT'S(Ba)、IWASAKI(Dr)、KEIGO(Vo)、KOHSHI(Vo)、TAKE(Gt)

音楽性について

─次はバンドを組むにあたって重要な指針となる“音楽性”について教えてください。今ではアニメ×ロックの先駆者ともいえる存在のFLOWですが、当初はもう少しパンキッシュでハードなミクスチャーサウンドを鳴らしていました。音楽性についてはどう決められていったんでしょうか。

TAKE
ジョナサンでみんなで話したね(笑)
IWASAKI
僕がスタジオに行かなくって呼び出されたのがそのあたりの時期で(笑)
TAKE
当時流行ってた2000年代前後のミクスチャー・ロックはみんな好きで聴いていたし、日本のバンドでいうと、UZUMAKI(当時表記:宇頭巻)や山嵐がすでにデビューされていて、シーンを牽引していたから。また違う形のミクスチャー・サウンドで勝負できたら面白いんじゃないかって、確かいわちゃんが言ってた気がします。(アメリカのミクスチャー・バンドの)Zebrahead(ゼブラヘッド)とか、少し陽なミクスチャーが指標でした。それに到達したのが「ブラスター」(2003年発売のデビューシングル)という曲だったんです。自分たちの指標となる楽曲ができて「これはデビューのときに使いたいよね」ってとっておいたんです。

─では「ブラスター」はデビューより少し前から完成していた曲だったんですね。当時、他にはどんな曲があったんでしょうか。

TAKE
その前に兄弟2人で作った曲があって。
KOHSHI
「エチボー」「コックローチライフ」とかありましたね。

─……!? 初耳のタイトルです(笑)

TAKE
いまだに地元の友達からは「コックローチ」やらないの?って言われるんですよ。当時はいちばん盛り上がってたから。
KEIGO
ゴキブリの一生を歌った曲なんですよ……。俺の友達も言うもん。「もうやらないの?」って。
TAKE
「プラネットウォーク」とか、今もやっているインディーズ時代の曲はあるんですけど……入らなかったねぇ(笑)。
KEIGO
共感されなかったんでしょうね。

アニメとの出会い 作曲の技術

─(笑)テレビ東京系アニメ『NARUTO -ナルト-』4代目オープニングテーマである名曲「GO!!!」をリリースしたのが2004年です。アニメの楽曲はどんなキッカケで歌うことになったんでしょうか。

KEIGO
初代マネージャーが『NARUTO -ナルト-』の話を持ってきてくれたんです。
TAKE
そうです。タイアップって自分たちの力で取りにいけるものではないので。当時はバンドがアニメの曲を歌うケースは少なかったのでアニメの主題歌と聞いたときは驚きました。
IWASAKI
最近はアーティストさんやバンドが担当することが増えてきたけど、当時は珍しかったもんね。
TAKE
TM NETWORKさんとか、ZARDさん、DEENさんたちが一時代を築いて。そのネクストという感じだったと思います。

─今ではたくさんのアニメ曲を手掛けられていますが、アニメのタイアップ曲を作られるときに意識されることや、アプローチのポイントなどありますか?

TAKE
オープニングであれば物語のはじまり感、わくわく感をイントロに入れたり、インパクトを出すために歌はじまりにしたり……そういったいろいろな技術はあるんですが、いちばん意識することは、作品の雰囲気をいかに音で体現できるかってところですね。

─以前、制作時に直接制作会社の方とお話する場合もあると伺いました。

TAKE
はい。音も作品の一部なので、アニメ制作側とのイメージの共有は大事だと思っています。話し合いで同じイメージを共有したうえで作曲に入るのが理想です。

作曲方法について

─作曲初心者にとってプロがどういう風に曲を作っているかは気になるところです。初歩的な質問ですが、そもそも作曲ってどんなところからアイデアがひらめくものなのでしょうか?

TAKE
ギターのリフやリズムパターン、サビのメロディー、使いたい楽器等起点になるアイデアはそれぞれですがその断片を曲として膨らましていく作業をしています。

─FLOWの場合、最初はどのように作曲されていったのでしょうか。

TAKE
さかのぼると、中学校の頃はダブルラジカセで録音しました。まずリズムマシーンをRチャンに入れて、Lチャンにいくときにベースを入れて……その次にギターを入れて、歌は任せる……といった流れでした。今考えるとすごく地道な作業です(笑)

※注:Rチャンネル…ステレオ録音における左チャンネル(第1チャンネル)のこと。Lチャンネルは右チャンネルのこと。

今はDTMが発達しているので、家のパソコンで全て完結してしまう。編集も楽になったのでアイデアを形にするのはすごく便利になりましたよ。最初にPro Tools(プロ・ツールス)を導入したときに画期的過ぎて。え、コピペでいいの!? 4分の曲が2分でできる!? って驚きましたもん(笑)。
GOT'S
構成が画面で見られるから分かりやすいしね。
TAKE
そうそう。頭のなかで構築しなければいけないものを視覚的にできるような時代になっているから、そういう意味では非常にライトに作曲できる時代ですよね。才能が世に出やすい良いツールがで始めたなぁという印象です。

─(作曲初心者に対して)アドバイスがあったらご教授ください。また初心者でも扱いやすいツールはありますか。

TAKE
とにかく沢山の曲を聴いたりコピーしたりしてアイデアの引き出しを増やすことは大事だと思います。その引き出しの豊富さが自分のイメージする楽曲を形にしやすくする手助けになると考えてます。最近はPC一台持っていれば楽器が弾けなくても曲が作れるようなソフト(Mac純正GarageBand等)が出ているので。そういったもので遊びながら作曲に触れるのは良いキッカケになると思います。
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楽器を始めた理由

─楽器を始めた経緯についても教えてください。まず、GOT'Sさんの場合はどうでしたか。

GOT'S
僕はB’zの影響で、最初にギターを始めたんです。それまではTM NETWORKなどを聴いていたんですが、B’zを聴いたときに「なにこの音!」って衝撃を受けて「エレキギターを弾いてみたい!」と。

─え! GOT'Sさんはベースではなく、ギターを弾かれていたんですか?

GOT'S
はい。ギターの音に憧れてギターを買ったという感じでした。そこからひたすら練習して。それこそXだったりギターが目立つバンドの曲を弾いてましたね。当時はギタリストになりたかったんですよ。でもさっきの“あるある”話の通り……上京していざバンドを組もうとすると、ギタリストが多くて、バンドを組むことが難しい。俺がベースになればバンドを組める……ということが、何回か起きたんです。
一同
(笑)
GOT'S
その時にはギターを弾きたいという気持ちより、「バンドをやりたい」という思いが強くなっていて。もうパートは別にいいかなと。
TAKE
GOT'Sといわちゃんは上京組だし、(バンドをやりたい)思いは強かっただろうね。
GOT'S
で、ベースになってみたらバンドが組みやすくなったし、意外と弾きやすいなと。たぶんそういう人多いと思います。
IWASAKI
(うなずきながら)やっぱり僕も似たような感じ。中学校2年生くらいのときに先輩からギターを譲ってもらったんですけど、ひとりでやっててもよく分からなくて。中3の終わりくらいに「バンドやろうぜ!」ってなったんですけど、ドラマーがいなかった。ジャパメタ(ジャパニーズ・メタル)の時代やったし、ボーカルギターって花形プレイヤーなんですよ。ギターは僕がやらなくても、あと4人くらいいた(笑)。やっぱり僕もバンドをやりたいって気持ちのほうが強かったので、それでドラムに転身しました。実際叩いてみたらできる雰囲気があったし。何も知らないから、ちょっと叩けただけでもできたつもりになるんです。これはひょっとしたらいけるのちゃうかなって勘違いで、ここまでこられました。

─“できる雰囲気”とおっしゃっていましたが、いちからドラムを叩くのって難しくなかったですか……?

IWASAKI
始める瞬間だけ「難しいな」と思った。譜面を見ながら叩くんですけど、意外と叩けたというか。人間って交互に動かすことは得意なんですよ。歩くこともそうじゃないですか。むしろ一緒にすることのほうが難しい。そういう訓練をしなきゃいけないということに気づかされて、そこからハマったんですよね。

─なるほど。KOHSHIさんとTAKEさんは楽器を始めたのはXの影響ということでしたが。

TAKE
ギターヒーローがいましたから。Xのhideさん、PATAさん、布袋さん……。2人でギターを買って4畳半の子供部屋でツインギターを弾いてました。必然的にバンドを組んで、ライブをやったらみんなが盛り上がってくれて「こんなに気持ちのいいものは世の中にあるのか!」と。ライブがきっかけでどんどんギターにのめり込んでいきましたね。

─KEIGOさんはそんなみなさんの姿を見て楽器をやりたい、と思うことはありました?

KEIGO
全然。バンドをやる考えがそもそもなかったので……。自分たちの年代ってコピーバンドをやってる人が多くて、バンドに触れる機会は多かったんですけど、自分がやろうとは思ってなくて……基本的に見ている側でした。自分の音楽の出会いはFLOWですしね。で、実際にステージに立ったらすごく面白くて。

─ボーカルの技術を上げていく作業というのは、ひたすらトレーニングになりますか?

KEIGO
練習もそうだと思いますけど……場数もあるのかな。

─楽器隊に関しても練習と場数でしょうか。

TAKE
そうですね。今の子たちって本当に恵まれてるなと思うんですけど、YouTubeにたくさん映像が上がっているから、どうやって弾いてるか見ることができるじゃないですか。なかには教えてくれる人だっている。我々の時代は情報が少なかったので、数少ないライブビデオを見て練習していました。ゴールが遠かった(笑)。今はゴールに近づけるツールが増えてきてるので、みんな上手ですよね。ネイティブ16符の世代ですからね、幅が広がってきている気がする。

FLOWにとっての“壁”

─さきほどCDを出すことが大きなハードルだった、というお話がありましたが、バンドにとっての最初の“壁”ってどんなことでしたか。

TAKE
ツアーだったと思います。それまでは関東でしかライブをやったことがなかったんですよ。全国にまで友達いないですから(笑)。初めて地方でのライブ公演をブッキングしてもらって、自分たちでハイエースを運転して行った……という初めての経験をしました。
IWASAKI
僕はバンド経験があったから「ツアーに行ったほうがいいよ」と言ってたんです。東京で売れてなくても、どこで火がつくかなんて分からないじゃないですか。同じように関西でも活動したほうがいいよって。
GOT'S
東京で売れてもないのに地方行っても……って当時は思ってて。
KEIGO
IWASAKIさんにそう言われたとき、「だって友達いないじゃないですか! 客入れられませんよ!」って真顔で言いました(笑)
TAKE
でも実際行ってみたらすごく新鮮でした。その感覚って初の海外ツアーに近いものがあって。自分たちの知らない土地に行って、ライブをやって。
一同
(頷く)

─今はSNSで仲間を広げられやすくなりましたよね。少し離れた土地のバンドとも連絡が取りやすいし、ブッキングもしやすくなった。

TAKE
そうですね。当時あったのはホームページくらいだったんですよ。自分がホームページを担当していたので、BBS(HP内のメッセージボード)がつながりの場でした。SNSが普及する前のインターネットを使ったつながり方が出始めていた時期ではありましたね。

─FLOWはジャンル問わず仲間が多いですが、そういった時代に、どうやって仲間の輪を広げていったんでしょうか。

KEIGO
いろんなジャンルのイベントに出させてもらってるのもあると思いますし、メンバー個々がいろんな所でいろんな人とつながってるのもあると思います。あとはメンバー5人ともお酒を飲むので対バンイベントなどの打ち上げは絶対参加で!酒でのつながりが一番多いのかな(笑)

─FLOWは5人ともすごく仲が良いですよね。その秘訣って何かありますか?

KEIGO
もう5人とも秘密なんてないくらい知ってるので、お互いのプライベートに深入りしない、否定しないですかね。もうそんな知りたくもな…、いや尊重しあってます!!!
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未来のアーティスト・クリエイターに向けてメッセージ

─頑張っている子たちに向けて、最後TAKEさんからメッセージをお願いします。

TAKE
CD、サブスクリプション、ダウンロード……いろいろな形で音楽を聴けるようになりましたけど、現場で体感する音楽がより重要になってくる時代になると思うんです。ライブを楽しんでもらいたいなという気持ちはありますね。制作に命をかけるという人もいると思うんですけども、音の振動を一緒に体感しながら楽しめるというのは、ライブの醍醐味のひとつだと思うので、そういうことで力をつけて楽しんでいけばいいのかなと思います。

─当時と今で“発信”“聴き方”の手法は変わっているところはあるものの、根本的なバンドの在り方、ライブのアプローチは変わっていないように感じます。

TAKE
そうなんです。技術が進んで直せるものも増えてきて、うまく演奏ができなくても形にはなりますが、生ではそうはいかない。今後はそこの現場力が問われていくような気がします。

[取材・文:逆井マリ 撮影:相澤宏諒]

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FLOW(フロウ)
KOHSHI(Vo)、KEIGO(Vo)、TAKE(Gt)、GOT'S(Ba)、IWASAKI(Dr)の5人組ミクスチャーロックバンド。 2003 年にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー。以来、シングル33枚、オリジナルアルバム10枚をリリース。 これまでに『NARUTO-ナルト-』『コードギアス 反逆のルルーシュ』『ドラゴンボールZ』などのアニメ主題歌・関連曲を手掛け、アニメ・ロックといった音楽のジャンルを超えた熱いライブを全世界で繰り広げている。